職場で必須!信頼関係を築くコミュニケーションとは?!

仕事をしていく上でコミュニケーション能力が必須なのは今や常識。接客、接遇、クレーム対応、プレゼン、折衝。そして、人材育成、OJT、人間関係を壊さない叱り方。「えっ!そんなに色々あるの?」って思いましたか?。大丈夫です!!全部基本は同じ。基本がわかれば、どんな場面でも応用が効きます。コミュニケーション能力は圧倒的に「後付け」の能力。延べ20000人の研修をしてきたプロの講師が「すぐに使える職場コミュニケーションの全て」をお伝えします

クレーム対応 どんな職場でも役立つ応対の極意!

f:id:comsupo:20181210164343j:plain

 

なぜ、クレームは宝の山なのか?

 顧客に「クレームを言われるのが好き」とうい人は多くはないかもしれませんが、

(いることはいます。私はクレーム対応が大好きでしたので)

「クレームは、金を出してでも買え」と言われるほど、会社にとっては「大事な宝」と言われます。

 実は、本当にお金を出してクレームを買っていた店があることは有名な話です。

 今では、超有名な某焼肉店が、今のような人気店になる前のこと。一度来た客が二度とは来ない、閑古鳥が鳴くような店。それをどうやったらお客様に二度三度と足を運んでもらえるような店にできるか、一生懸命考えたけれどわからなかったので、「そうだ!お客様に聞こう」と思ったのだそうです。

  単なるアンケートぐらいだと、お客様も面倒がって書いてくれないかもしれない。だから、クレームを言ってくれた方には、一個につき300円(だったかな・・)払う代わりに、飲食代から値引きすることにしました。そこまでしてくれたら、お客様もクレームを言いやすくなるし、クレームのネタを一生懸命探してくれるはず、という発想だったとのこと。コンサル料だと思えば安いかもしれません。第一、貴重な生の声が聞ける。

  そこであがったクレームを一つひとつ解決していったら、あっと言う間に超人気店になりました、というエピソードです。

 人は、自分の欠点は見えないもの。だからこそ、他人の評価が必要です。例えそれが、相手の誤解であろうと、理不尽なものであろうと、何かしら自分の側の足りなかった点を見つけることができる。「誤解されるような説明だったんだ」とか、「理不尽なことを言いたくなる気持ちにさせた原因は何だったのだろう」とか。

クレームは苦い情報

 クレームは言い換えれば「苦情」。苦いけれど、貴重な「情報」です。せっかくのお宝を無駄にしてはもったいない!

 

 そう思ってクレーム対応すると、「怒られている」という気持ちから「教えていただいている」という気持ちに変わり、少し前向きになれるのではないでしょうか?

 しかも、「クレームを言ってくれた人ほど、その店にファンになりやすい」というデータもあります。有名な「ジョン・グッドマンの法則」です。

 「商品に満足した人が、同じ商品を購入してくれる確率」よりも、「商品に不満があってクレームを言ってきた人が、その店のクレーム対応に満足すると、また買ってくれる確率」の方が高い、というものです。なんと再購入率82%、8割以上というデータです。

 売る時は、店側は誰でもいい顔をしますが、お客様から不満を言われたときにこそ、その店の顧客に対する姿勢がわかるということでしょうか。

 だからこそ、クレームを言われたときが、その店その会社のファンを作るチャンス。スタッフのクレーム対応力を上げることは、店や会社の発展に大きくつながります

 では、クレームをお宝に変える極意を解説します。

クレームを宝に変える極意

4つのステップで対応します。

1.聞く(聴く、訊く)

2.詫びる

3.話す

4.感謝する

1.聞く
  • まずは「問題の主訴」を「聞く」
  • 次に、相手の感情を鎮めるために「聴く」=「話をさせる」
  • 最後に、さらなる情報収集と事実確認のために「訊く」

 ポイントは、「遮らない」「言い返さない」「言い訳しない」で「最後まで聞く」

 しゃべることは感情の発散になります。お客様はストレスを吐き出したい。だからまず全部吐き出してもらいましょう。ガス抜きです。吐き出せばあとは吸うだけ。その後はこちらの話に耳を傾けてくれます。

 怒っている時は感情的に話しますから、ところどころ筋道が通っていないかもしれません。すると、聞いている側は、その間違いを正したくなります。でもそれをされるとよけいに腹が立ちます。癪にさわります。だから、論理的に聞くのではなく、怒っている気持ちを聞くつもりで。
 NGワードは、相手に対する否定の言葉や不信感を表す言葉。

「そんなはずはございません」「それは違います」「お言葉を返すようですが」

「そうはおしゃいますが」「できません」「わかりません」「存じません」

  自分が担当ではないと時に、「私は担当ではない」「担当が不在なので」もNG。

「自分は内心は関わりたくない」という、責任逃れの印象をあたえます。

 でも、本当に担当でなければ、話を聞いてもわかりませんので、そんな時は、

「○○の件についてのお話でございますね。私より担当の者が直接お伺いした方がよろしいかと思いますので、後程ご連絡いたします」

「さらに詳しい者がおりますのでただいま代わります」

等、言い方に工夫が必要です。

 人間は、たいてい言いたいことを全部言ってしまうと、黙ります。そしてそれからは「訊く」。質問によって具体的な事実、さらなる詳細情報を聞き出していきます。

2.詫びる

 こちら側に非がなくても、来訪や電話の手間をかけさせた、あるいは誤解させたことへのお詫びをします。話を全部聞き終わってからでなく、話を聞きながら、適宜お詫びの言葉を挿入します。

 「不愉快な思いをさせて~」「ご心配をおかけして~」「お手数をおかけして~」

「ご不便をおかけして・・」「説明がいたらず、申し訳ございません」

これを「部分謝罪」と言います。

 ここで「非を認め、全面的な謝罪をしてしまうと、組織として責任を取らなければいけなくなるかもしれませんので、部分謝罪にとどめます。ただし、心を込めて。

「心を込める」とは、対面なら、表情・態度・声のトーンを意識して。

電話なら、対面以上に声のトーンと言葉遣いに気を付けて。

 ポイントは、ここで事情を説明しようとしないこと。つまり、説明と謝罪を分けることです。謝罪と説明をつなげると、言いわけに聞こえます。

 つまり「大変申し訳ございませんでしたが、実は~」とすることです。

 人間、言い訳せずにひたすら謝っている相手に拳を振り上げられないという心理があります。謝罪によって相手の気持ちをさらに落ちつかせてから説明に入ります。 

 ここまでで解決するクレームもあります。自分の痛みや損害をわかってもらえただけで、人間、穏やかになれるからです。

 「申し訳ございませんが、私ではわかりかねます。確認いたしまして、1時間後にご連絡を差し上げてもよろしいでしょうか?」と、あえて時間を置いたり、担当を代わるとさらに相手が落ち着くこともあります。

f:id:comsupo:20181210164916j:plain

3.話す

 それで解決しないときは、説得スキルの出番です。相手の理解・納得を得て、気持ちよく解決に導きます。でもこれは、あくまで、相手の感情が収まってから。おさまらないうちは、どんなことを言っても相手は聞く耳を持ちません。

  • まずは情報を送ります。情報は、相手が自分で結論を出すための材料です。クレームの背景となった事情や経緯、組織としての立場など、必要と思われる情報を提供します。
  • それから、その後の対応です。補償 拒否 対価を求める交渉(送料の負担 修理費の一部等)
  • ポイントは対応可能な妥協点を探すことです。言わば実現可能な次善の策です。どのようなことなら可能か?前向き・プラス方向で提案します。

「こんなことならできます」

「こうしてくれれば、こんな対応ならできます」

「~していただければ、ご意向に沿うことができます」

「例えば・・という方法ではどうでしょうか」

 その際は、選択肢を作ります。提案がひとつだけだと押し付けられている感じになりますが、2つ以上を提案し、選択してもらうことで「自分が決めた」感を持ってもらえます。

  人間が納得する理由は、「損をしないこと」「得をすること」です。 だから、おまけや割引き、プレゼント、特典も有効です。ただし、その場合は、「今回に限り」「今回は特別に」というフレーズを忘れずに。その後の「ごね得」を作らないためです。

 「おまけ」や「割引」ができない時には、考えます。クレームを言い続けることで、相手がどんな損をするか?

「時間の無駄」

「エネルギーの無駄」

人間性が良くない人だと思われる」

 クレームを言うことをやめることで、相手がどんなを得するか?

「寛大な人だと思われる」「人格者だと思われる」

「時間を無駄にせずに済む」

「相手に恩を売れる」

 人間が、お金やモノ以上に欲しいもの、それは、

「承認」「誇り」「プライド」「評判」「人間関係」「善き自分でありたいという倫理観」です。 どうやってそこにアクセスするか。それを考えるのがクレーム対応の究極のポイントです。

  相手の要望に沿えない時は、「毅然と」断ります。もちろん「断り方」に工夫は必要ですが、ブレると、対応が長引きます。なぜならば、「言えば何とかなる」「言った方がトク」「言わないとソン」と思われてしまうと、言い続けるからです。そして、断り切れないと「ごね得」を許し、今後も同様のクレームが繰り返されることになりかねないからです。「これ以上言っても無駄」「これ以上時間を使っても、言い分が通らなそう(時間を損をする)」と感じればあきらめます。

  • 「この先はできません」「ここまではできます」→ できないことはできない、できることもちゃんと伝えます。
  • 決めゼリフは、質問で締めくくります。「お許しいただけませんか」「ご理解いただけないでしょうか」「ご了解いただけないでしょうか?」
  • 「これ以上クレームを言っても時間や労力が無駄」と思えば、しぶしぶでも納得します。「あきらめ」も相手の選択の一つですから、よしとします。
  • また、焦って解決しようとせず、時間をかける意識をもつことも必要です。理解してもらうには時間がかかることもありますし、時間をかければあきらめがつくこともあります。

 「それしか方法はないのか」「まったく融通がきかないんだな」等の捨てゼリフも、「解決に近づいた」と思ってください。人間は、頭では納得しても、一度振り上げたこぶしは、「はい、そうですか」と簡単に降ろせないこともありますので、捨てゼリフを言いたくなる気持ちを察してあげましょう。

4.感謝する

 クレームが一段落すると、少しでも早く切り上げたい気持ちになりますが、そこでもうひと踏ん張りして、相手の心象を回復して終了させます。なぜならば、気まずいまま終わると、その後相手が離れていってしまうからです。今後、ファンになっていただくために、終わらせ方は最も重要です。

 捨てゼリフを吐かれたとしても、最後には心から感謝して、気持ちよくお見送りしましょう。

「本日はわざわざお越しいただいて、ありがとうございました」

「本日はわざわざお時間をとってお電話いただきありがとうございました」

 お客様の労力に感謝します。

「文句を言いに来たのに感謝された」と、相手の予想を裏切ります。そうすると「謙虚だな」「信頼できるな」等、相手との関係がプラス方向転換していきます。

また、

「今後生かしていきます」「大変参考になりました」

「貴重なご意見をありがとうございました」

「今後の検討材料として活用させていただきます」

 お客様も人間、冷静になれば、大人げないことを言ったことに対して、ばつの悪い思いをしているかもしれません。ですから、そのうしろめたさの解消をはかります。

 仮に相手のミスや勘違いだったとしても、

「私の説明不足で勘違いをさえてしまい、申し訳ございませんでした」

「誤解であることがわかって、安心致しました」

お客様に非があったのではなく、自分側に非があってとして、面子を立てます。

 そして再来を歓迎する。

「何かございましたらまたいつでもお越しください」

「いつでもお問い合わせください」

  始めはクレームを言ってきた相手であろうと、最後に信頼関係が回復できれば、その人は、あなたの会社のファンになってくれるはずです。

 そしてそのクレームを今後に生かして、同じクレームが出ないように自分側の改善をはかる。

  クレーム対応の目指すゴールは、まさにそこにあります!