人間関係を壊さない「断り方」の極意
「言いにくい」からといって、「言わない」と、かえって人間関係が壊れるワケ
誰でも、言いたくても言えないことはあるものです。
「相手の気分を壊したくない」「波風立てたくない」「嫌われたくない」
だから、言いたいけれど、「グッ」と呑み込んで我慢する。
でもそれでは、自分のストレスが溜まって精神衛生上よくない・・どころか、相手に対する恨みが募って、本当の意味で「良い人間関係」は築けません(キッパリ!)
どちらか一方の我慢の上で成り立っている関係性は、バランスが悪いため、ちょっとしたことで壊れます。
だからといって、いつでも、言いたいことを言いたいように言っていたら、あちこちでトラブルを起こすことは必至。
こんな時こそ、「コミュニケーションスキル」が不可欠です。
本当の「コミュニケーションスキル」とは、言いにくいことでも「相手を不快にさせずに、人間関係も悪くせず」に伝えられるスキル。
上手な断り方
そして言いたいけれど、言いにくいことの代表が「断ること」でしょう。
相手の要望を断ることで、場合によっては相手が気分を害したり、反発が返ってきたり、一歩間違えれば、これまで築いてきた良好な関係にもヒビが入ってしまいかねない、そう考えて「断り切れない」、そんな思いは誰でも経験したことがあるでしょう。
そこで、相手にあたえるダメージを極力抑え、自分自身の心理的負担も軽くなる方法を紹介します。
ケース1
例えば、職場では、「飲み会のお誘いや歓送迎会」「所属している部署での休日のイベントや旅行」。プライベートでは、「ママ友からのランチのお誘い」等々。
「金銭的にしんどい」「プライベートの時間がなくなるのは気が重い」等、様々な理由で誘いをお断りしたい時に使える方法です。
- 感謝
- お詫びのマジックフレーズ
- 理由+断る旨
- 後のフォロー
- まずは「お誘いただきありがとうございます」と感謝の意を示します。
- 次に「残念ですが」「申し訳ございませんが」「恐縮ですが」等、お詫びを意味する「マジックフレーズ」を必ず挿入します。
- 「実は、その日は○○なので」(自己都合よりも「いたしかたない」理由) + 「参加できないんです」
- 次回誘ってくれた方と顔を合わせた時は、「先日の○○、いかがでした?」等、関心がある旨を知らせます。
※ LINEでのやりとりでも同じです。
ポイントは「マジックフレーズ」。言いにくいことが言いやすくなる「魔法の言葉」を使います。
「申し訳ございませんが」「恐れ入りますが」「お手数ですが」
接客用語として、サービス業に就いている人にとっては必須のことばですが、接客だけではなく、親しい人との日常会話でも、とっても有効です。
いつも「敬語」にする必要はありません。
「すみませんが」「悪いんだけど」「あ、ごめん!」
親しい間柄なら、それで十分です。
ケース2
自分が抱えている仕事でいっぱいいっぱいなのに、上司や先輩から「明日までの割り込み作業」を依頼されたような場合。
「大変申し訳ございません!お受けしたいのは山々ですが、今、○○の件で手が離せません。恐れ入りますが、この仕事の目途がつく3日後でも、よろしいでしょうか?」
「大変申し訳ございません。今○○の件を抱えております。恐れ入りますが、どちらを優先すればよろしいでしょうか?」
- マジックフレーズ
- 理由
- できる方向での要望
相手が上司、先輩であればなおのこと、断りにくいはずです。ですから、マジックフレーズをふんだんに使って、相手への配慮を示すことがポイントです。
そして、自分の事情(事実)、最後に、自分の希望を織り交ぜます。
ケース3
例えば、取引先との交渉で、応じられないような条件を提示された時は、一度保留にするのも有効です。
「確かに~に関しては、おっしゃるとおりかと存じます。ただ、申し訳ございません。私の独断では即答をいたしかねますので、いったん持ち帰って検討させていただいてもよろしいでしょうか?」
- 相手の考えを「部分肯定」
- マジックフレーズ
- 即答できない理由+保留の提案
まず、相手の考えや意見を「部分肯定(部分共感)」します。全面肯定してしまうと、後々断りにくくなりますので、一部に留めます。
その後、「応じられない」とわかっていても、いったん保留にすることで、頼み事を真剣に検討しているという姿勢を示します。人間、やはり頼みごとを断られるのは、不快に感じるもの。条件云々よりも「自分をないがしろにされた」という思いから、プライドが傷つきます。ですので、「断られはしたが、きちっと検討はしてもらった(重んじられた)」と感じた方が、相手のダメージを軽くできます。また、少し間を置くことで、有効な理由を考えることもできますし、相手にも覚悟ができます。関係を壊したくない相手に難題を投げかけられたら、いったん保留にして時間を置いてから断る方が賢明です。
そして、1日2日置いてから、
「先日のお話ですが、上司に相談しましたところ、大変申し訳ございませんが、ご希望には添いかねるということになりました。もしよろしければ~するというのではいかがでしょうか?」
できたら代替案を提示します。
「断る」のを「拒否」と考えず、「ここまでならできるが、ここから先はできない」という切り分けラインの情報を提供すると考えれば、気持ちも軽くなるのではないでしょうか?
「申し訳ございませんが、明日お届けというのは致しかねますが、明後日のお届けならば可能でございます」
何か条件を提示する際は「~していただけないと、○○できません」ではなく、「~していただければ○○はさせていただけます」等、相手のメリットが印象に残るような「肯定的な言い方」を工夫してみましょう。
ただし、その場逃れや、時間稼ぎという印象を残してしまうと、かえって逆効果です。回答を待つ間、相手が「イライラしながら時間を無駄に使う」ことになれば、断られた人は「待って損をした」と感じます。信頼も失います。代替案を検討する余地もなく、即答したほうが相手のためのなると思った場合は、「こちらからのお願い」のスタンスでお断りします。
- 「本当に申し訳ございません」(マジックフレーズ)
- 「この件に関しましては~のため、○○いたしかねます」
- 「なにとぞご理解いただけませんでしょうか?」「なんとかご承知ただけませんでしょうか?」
こちらが「拒否する側」ではなく、相手を「拒否する側」とすることで、少なくとも相手のプライドは守られます。
まとめ
どんなケースであったとしても、ポイントは「相手の気持ちへの配慮の言葉=マジックフレーズ」と、「自己都合ではなく、いたしかたないと感じられる理由」を添えること。そうすれば、少なくとも関係が壊れてしまうことにはならないでしょう。