クレームに強い組織の作り方
クレーム対応を一人のスタッフに任せきりにしてしまうと、対応した人だけが大きな負担を負うことになります。そうすると、対応したスタッフの「不公平感」が募り、クレーム対応をみんなが押し付け合う「ババ抜き」状態になってしまいかねません。そのような事態を避けるためにも、組織的対応の制度を構築していきましょう。
組織的対応の手順
1.記録を残す
「やっと帰ってくれた、やれやれ」「嫌なことはさっさと忘れよう」となる気持ちはわかりますが、組織でクレームに立ち向かうには、クレーム対応後の事後処理が大切です。
- まずは、第三者が見ても経緯がわかるように、具体的に(つまり5W2Hを考えながら)記録を残します。そのためにもクレームを受けている最中にメモを取ることが必要です。応対中にメモをとることは、「ちゃんと聞いてもらっている」という相手の心象にもつながりますし、「きちんとメモを取りたいので、もう一人スタッフを呼ぶ」という口実にもなります。そのようにして応対する人数を増やして優位に持ち込むのも一つの戦術です。
- 「重要なクレームだけを記録に残す」ことしてしまうと、人によってどんなクレームが重要なのかの判断がまちまちになってしまいますので、「些細なクレーム」も全て記録に残します。そうすることで、「数の多いクレーム」「深刻化したクレーム」「応対方法に迷いが生じやすいクレーム」等、クレームの傾向が把握できたり、分類できたりします。
- クレーム発生の原因を調べ、過去同様のクレームが発生していないか、突発的なものなのか、不可抗力なクレームなのか、二次クレーム的要素が強いものなのか等を分析します。
※ 一般に「モノ」や「コト」に対するクレームを一次クレーム、「一次クレームを言った際に、スタッフの対応が良くなかった(態度が横柄、知識不足等)等のクレームを二次クレームといいます。
2.情報共有
実例を参考に、ミーティングや報告会を定期的に開いてディスカッションし、対策を考えていきます。それを組織内ネットワークを通じて回覧したり、マニュアル化したりしていくことで、次回同様のクレームが起こった際に、誰もが対応しやすくなります。
具体的には、
- 対応の仕方
- 説明の手順
- 例外を認める場合の条件と方法、譲歩できる範囲
- 複数対応の場合は、誰がどういうタイミングで加勢するか
- どのような部署と、どのように連携をとるか
- できれば、月1回程度ロールプレイングで実践
月1回でも実践すれば、1年に12回開くことになりますので、スタッフによって対応がバラつくこともなくなり、「前の担当者はよいと言ったのに、なぜ今回はダメなのか」というクレームも防ぐことができます。
3.組織体制を整える
いざ、クレームが起こったら、対応するスタッフが一人で抱えこまずに済むようなバックアップ体制を整えます。○○のケースのクレームがきたら、どこに連絡して連携するか、あるいは、どこに報告し、誰が加勢するかを決めておくことで、組織的に対応することができます。
クレーム対応は、多大な時間とエネルギーを消耗しますので、仲間のバックアップや励ましがないと、クレーム対応者の孤立感が深まり、心が折れる可能性すらあります。
日頃から円滑なコミュニケーションをとり合い、報連相がしやすい職場環境を作っておくことも大切です。