「伝える」ことより「伝わる」ことが大切!「わかりやすく話す」ポイント
「言いたいことが伝わらない」
「言いたいことがうまく伝わらない」と思っている人は案外多いようです。
それもそのはず。もともとコミュニケーションは誤解の連続。不完全なものです。
言いたいことを、思いつくままに話しても伝わりません。
伝えわるように話すための知識と準備が必要です。
わかりやすく話すためのポイント
- 聞き取りやすいように
- ことばの選び方に気を配って
- 短文で話す
- 話す順番を整理してから
以上を意識して話すだけで、グッと伝わるようになります。
1.聞き取りやすさ
どんなにわかりやすい内容でも、相手が聞き取れなければ、伝えていないのと同じ。でも、誰しも、「聞こえません」とは言いにくいので、とりあえず自分の想像の範囲で解釈して「はい」とか「わかりました」と返事をします。実は、それがミスコミュニケーションにつながっている例は驚くほどたくさんあります。
聞き取れてはいるんだけれど、「聞き取りにくい」だけで、無意識に「聞こう」という気持ちが少し弱まります。集中が切れやすくなります。エネルギーを消耗するからです。ですから、どんないつでも、どんな場面でも、「聞き取りやすさ」を一番に心がける必要があります。
聞き取りやすさのためには、具体的に次の3点に注意します。
① 声の大きさ
② 話す速さと間の取り方
③ 滑舌とノイズ
①「声の大きさ」は基本のキ。自分が話をしている環境が静かとは限りません。相手の耳がいいとも限りません。一度で「スキッと」耳に入ってくる声は心地がいいため、「聞こう」という気持ちが無意識に高くなります。
② 話す速度は、相手がどんな人かによって変えます。比較的若い人は耳がよく、You tubeやお笑い芸人の早口に慣れ親しんでいるため、あまりゆっくり話すと焦れて、聞く気が萎えることが多いようです。
反面、歳を重ねるごとに、耳から入ったことばが脳に伝わって分析するまでに時間がかかるようになるため、ややゆっくり話す必要があります。パソコンも古くなれば、データの多さから動作が遅くなるのと似ています。
③ 滑舌とは、「歯切れの良さ」を指します。「ノイズ」は、「あの」「えっと」などのことば癖です。アナウンサーではないので、完璧を目指す必要はありませんが、少なくとも、コールセンターやカスタマーサービス、営業などの仕事で話す場合は、気を付けておいた方がいいでしょう。滑舌が悪く、ノイズの多い話は、相手の「聞こう」という気持ちを萎えさせるどころか、イラッとする原因にもなるからです。
ただ、若い人であっても、耳から入ったことばが脳に伝わり、解析されるまでに0.3秒ほどかかると言われていますので、「間」を取って話すことは極めて重要です。「理解」のためには「間」が必要なのです。
2.ことばの選び方に気を配る
① 相手の知っていることばを使う
あたりまえです。英語を知らない人に英語で話しても無意味。でも、多くの人が自分でも気づかずに、これをやってしまっています。自分の仕事で使う専門用語や略語は、自分にとってあたりまえのことばなので、「他人がわからないことがわからない」からです。
人間は、知らない単語が増えると脳に負担がかかるため、聞こうという気持ちに影響します。無意識にスルーしてしまいがちです。しかも、わからないところで解説もなく、延々と説明されると腹立たしい気持ちにもなります。
特に外来語やカタカナ語は、「知らないと恥ずかしい」と思って、わからなくても聞き返してきませんので、聞かれないからわかってると解釈するのは危険です。
「コンプライアンス」「ダイバーシティ」「インバウンド」「ブラウザ」等、よく使われていることばでも、案外うまく説明できなかったりします。
しかしながら、人間は知識欲もありますから、解説すればわかりたいと思います。相手が知らなそうなことばを使う場合は、あらかじめ解説や説明を添えるとよいでしょう。「親切な印象」にもなります。
② 漢字熟語や略語を多用しない
漢字熟語、いわゆる「漢語」は、文字で見れば意味がすぐにわかるようにできていますが、耳で聞くと、理解するためには文字を頭に浮かべる必要があったり、同音異義語が多かったりと、話しことばには向いていません。
「こうえんに行くのが好きです」は「講演」「公園」?
「しかく」は視覚?四角?資格?死角?
誰でも知っている熟語でさえも、すぐにパッと意味が思いつかなかったりします。人間、耳に入ってくる音は全部「ひらがな」だからです。
ところが、漢字熟語を使うと「インテリに見える」という思い込みなのか、特に男性は漢語を多用する傾向があるようです。漢字熟語を「和語」に言い換える方が、難しく、高い能力が要求されます。
ちなみにスティーブ・ジョブスがプレゼンで使う英単語は、ほとんどが小中学生レベルで理解できることばだったと言われています。
③ あいまい語を避けて、具体的な言葉を選ぶ
「急いでやって」「なるべく早く来て」「すぐ近く」「大きめの紙に」のような「形容詞」は危険です。人によって解釈が異なるからです。「きちんと」「丁寧に」「気を付けて」等の指示も、抽象的です。
話すときは「12:00までにやって」「始まる15分前に来て」「徒歩で3分」等、数字を使ったり、「一つの記入漏れもないように」「両手を使って」「必ず復唱してメモを取って」等、どう行動すればよいのかを具体的に伝えることが大切です。
指示代名詞の「それ」「あれ」「そこに」「ここに」も危険きわまりないことはおわかりいただけると思います。
「例の件、よろしく」「ああ、あれですね」が通用したのは、はるか昔の時代。今の職場は、様々な背景や価値観を背負った人が同じ職場で働く「ダイバーシティ」の世の中です。誰にでも、間違いなく「通じることば」を身につけることが必要とされています。
3.短文で話す
「~だから、~しようと思ったんですが、でも結構~なので、今度は~してみようと考えているんですが・・」とダラダラと続けると、結局何が言いたいのかわからなくなります。でも、自分では気づかず、話し始めから、話し終わるまで「。」がない話し方をする人も、驚くほどたくさんいます。
話を続けるために使う「~なんですが・・」「けれども~」は、前言を否定する意味合いのため、全体の意味がつかみにくくなります。
ですので、一つの主語に一つの述語ぐらいのつもりで、短文で話します。
「AはBです」「BはCです」「だからAはCなんです」
たくさん話がある時は、番号を振って分けると、プロっぽくなります。
「これから、3つの話をします」と予告した後、
「1つめは○○の話 2つめは××の話 3つ目は△△話し・・・」として、
「では、1つめの○○について話します」
話す前にこのように順番を整えるだけで、自分の頭も整理されます。
4.整理して順序良く勧める
聞き手が聞きやすいと感じるのは、「聞きたい」と思っている順番で聞けるときす。聞いている側の、「理解する思考の流れ」は共通しています。
具体的には
「結論 + 理由 + 例えば」 →「結論が先、理由は後」
「概要 + 詳細 + 具体例」 →「最初にざっくり、その後細かい点」
結論を「こうです」と言われれば、「なんでかな」と考えます。そこで、「実は~なことがありました」と話せば「なるほどね」となります。
「え?そうなの?なんで?」「原因は○○です」「なるほど、そうだったの」
ところが、よくない結論や結果は言いにくいため、言い訳から言いたくなります。苦労をわかってほしい、プロセスを認めてほしい気持ちになるからです。結果、理由から先にダラダラと続け、「だから、結論はなんなんだよ」「で、結局何がいいたいの?」ということになります。
相手がまず聞きたいのは「結論」あるいは「おおまかな概要」であることを心得ておきましょう。