明日から使える「惹きつけられる話し方」のコツ
「惹きつけられる話し方のコツ」について解説します。
基本の心がまえ
まず、絶対的に大切なのは、「相手の自尊心を傷つけない」これに尽きます!
小さい子供から、認知症を患っている高齢者まで、全て同じ。
人間は誰でも、深層心理では、誰よりも「正しく」「頭がよく」「美しく」「かっこよく」「仕事ができて」、「誰よりも愛され」」「尊敬され」「大切にされる」、特別な存在でありたい、そう思っています。
「自分を尊いと思う心」が 自尊心。
現実はそうではないことがわかっていても、心の奥底でこの思いは止められません。だから、そうではない自分を他人から指摘されると傷ついてしまいます。
例えば、相手から「あなたは間違っている」と指摘されるだけで、理屈ではそうだと納得していても、癪に障ったり、言い訳したくなったり、落ち込んだりします。
「イラッする」「カチンとくる」「ムッとする」「グサッとくる」「ズキッとする」大なり小なり、そんな気持ちになるのは、必ずどこかで自尊心が傷ついているから。
指摘した側に悪気はなくとも、相手は思いのほか傷ついていたりします。もしかすると、ちょっと「チクっとした」程度で、傷ついたとは気付いていないかもしれませんが、この「チクっと」は意外に、尾を引きます。後々人間関係に影響してくることも考えられます。だからこそ、相手の自尊心を傷つけない話の仕方を知っておく必要があるのです。
それでは、具体的にどのように話をすればいいのか?
1)否定しない
「でも」「だって」「だけど」「どうせ」「ダメだ」「ですから」で話し始めない。「ウソ~!」と思っても、「そうよね」「そうなんですね」「そうでしたか」と肯定的に受けてから、話し始める。
受け止めてもらえれば、心が満たされます。肯定することは、相手の立場や価値を認めることにつながるからです。
「いや、それは違ます」「そうじゃなくて・・」「違うんだなあ」と否定されると不快になります。
「じゃあ、自分ではそう思っていないのにウソを言うんですか?」と言う人がいますが、そうではありません。肯定と賛成は違うからです。
「りんごは美味しいよね」と言っている相手を、「この人はりんごが美味しいと思っているんだな」と受け止めることが肯定。だからと言って必ずしもその意見に賛成する必要はありません。
いったん自分の心の中で受け止める「へえ、なるほど、そう考えたんだ」。それから言葉に出す「そう考えるんだ。なるほどねえ~」「深いな」「そうきたか」
相手が間違っているということを指摘したいなら言葉の選び方に気を付ける。
「惜しい!」「残念!」「ブー!」「おっと、そうくる?」「ユニークな視点だね」と明るく言えば救われます。
そして言葉を否定することだけが、相手を否定することではありません。相手に対して、ネガティブな見方や上から目線になると、相手の存在否定につながりかねません。
例えば
- 「君の同期の〇〇さんは能力高いよね」(あなたはそうでもないけどね)
- 「この仕事、君にはちょっと難しいだろうが」(あなたにはまだ見合った能力がない)
- 「よく聞こえなかったんですけど」(あなたの声が小さいから)
- 「これ前にも言ったよね」(覚えてないの?忘れたの?)
- 「あ、今あなたしかいないの?じゃあなたでもいいから、ちょっとこれお願い」(ほんとはあなた以外の人に頼みたいけど)
- 「今日の昼飯はラーメンでいい」(ほんとはもっと違うものを食べたいけど)
- 「なんで〇〇しないの?」(〇〇してほしいのにやってくれないから不満です)
- 「まだできないの?」(おそいなあ。はやくやれよ)
- 「だから言ったでしょ?」(私が言ったとおりにやらなかったから失敗した)
- 「無理です」
否定語は使っていませんが、相手の行動や能力を「否定」する言い方です。
では、この10個を、どういえば「肯定的」になるか、考えてみましょう。
ちなみに正解はありません。答えが一つとは限りませんが、まずは、自分が相手に対して否定的な言い方をしていないかを考え、どうすればそうならないような言い方に変えられるか考えて口に出すように意識していれば、自然に身についていきます。
- 「君たちの期は優秀だって評判だよ」
- 「ちょっと難しいが君ならできるはず」
- 「念のため、もう一度お願いします」
- 「大事なことだから、もう一回言うね」
- 「これはあなたにやってもらえると助かるんだけど、お願いできる?」
- 「今日の昼飯はラーメンがいいな」
- 「〇〇しないのには、何か理由あるの?」
- 「どこまでできた?」「そろそろできそう?」
- 「良かれと思ってやったんだよね!」「ナイストライ!!」
- 「~とうことならできます」
例えば、自分は否定するつもりがなくても、「相手が否定された」と感じて受け入れてもらいにくくなる状況に「改善提案」があります。
「職場をよくしよう」「あれもこうしよう」「これはこうしたらどうだろう」と考えて提案する。改善は前向きな話、ポジティブなものに見えます。
でもこれがけっこうくせもの。
なぜならば、改善提案は現状を否定するところから始まるからです。
今までそのやり方でやってきた人がいる。その人たちを否定しているわけではなくても、立場が変わると、否定に見えることがあります。
だからこそ、言い方に工夫が要ります。
これまでの効果や成果を十分に認めた上で
「今は現状が変ったため~のようにしたらどうでしょうか?」
相手が「否定された」と感じてしまうと、せっかくの「良い提案」も受け入れてもらえないことになるため、一番気をつけたい点です。
2)ポジティブな方向で話す
ポジティブな方向=プラス方向の表現です。
具体的には、
「否定形ではなく肯定形」に、
「過去形ではなく未来形」に、
「拒否・拒絶は提案型に」変えるとポジティブになります。
基本は
「~できません」→「~していただければできます」「~でしたらできます」に変えてみる。
例えば、
「ここ禁煙なんです」→「おタバコは、あちらの喫煙所でお願いできますか」
「もう5分しかないので急いでね」→「まだ5分ありますから、ごゆっくりどうぞ」
「忙しくて今無理です。午後にならなければ時間が取れません」
→「申し訳ありません。午前中は手が空きそうにありませんので、午後からでもよろしいでしょうか」
「好き嫌いしないでちゃんと食べないと、おやつはあげないわよ」
→ 好き嫌いしないでちゃんと食べれば、あとでおやつあげるからね」
「このお菓子、夕飯が終わるまで食べちゃダメよ」→「このお菓子、夕飯の後で食べようね」
3)クッションフレーズ・マジックフレーズを上手に使う
言いにくいことが言えるようになる不思議な言葉=マジックフレーズ
「下から目線」でものを言うテクニックです。
マジックフレーズと言えば、
「申し訳ございませんが」「失礼ですが」「よろしければ」等、「接客業」では必須の言葉と言われていますが、敬語にしなくてもOK。
「忙しいところ悪いんだけど」「大変な時に無理言って申し訳ないけど」
のように「ため口」で使うのもとても効果的です。
4)提案型・依頼形で話す
そして、マジックフレーズと一緒に使えば最強なのは「提案・依頼形」
「~しておいてくれる?」「~していただけますか」
「~してくれると助かるな」「~していただけると助かります」
「~してもらえると嬉しいな」「~してくださると嬉しいです」
人間は強要されると不快です。自尊心がちょこっと傷つき、「不快」になります。
だからこそ、相手に選択肢がある言い方や、頼み事に変えてみる。
「悪いんだけど、これやっといてくれると助かるな」
例えば、頼んだコーヒーがこない。ムッとした声で、「コーヒーまだ?」より「忙しいところ申し訳ないけど、さっき頼んだコーヒーどうなったか確認してもらえると助かるな」
相手が、お店の店員であっても、自然にそういえるかどうか、その人のマナー、人間としての器の大きさが計られます。